ベトナムのロックは何を叫ぶのか
ベトナムで機会があれば食べてみたかったもののひとつ。
ホビロン(hột vịt lộn)。
遂にその機会が訪れました。
ずばりホビロンとは、アヒルの「かえりかけ」のたまごです。
フィリピンなどではバロットと呼ばれているようです。
なんでも「かえりかけ」であればあるほど高栄養価で美味しいのだとか。
見た目は普通のたまごです。
日本で市販されている鶏のタマゴより少し小さいぐらい。
そして、殻をスプーンでコツコツと割ると…
(以下、ちょっと閲覧注意です)
画質が悪くてわかりにくいですが、中身が出てきます。
え~とですね…
まぁ、羽や頭らしき部位はあったものの、今回食べたものは「かえりかけ」の中でもおそらくその進行度合いは浅いほう。
ぶっちゃけ「ゆでたまご」に近い味でした。
ホビロン、最近はベトナム人でも苦手な人が増えてきているようで、特に外国人が食べるとベトナム人から何か認めてもらえるらしいですよ。
さて今回は、ベトナム人の友人に「ロックは好きか?」と誘われて、ライブハウスへ行ってきました。
場所はホーチミン市3区のNgô Thời Nhiệm という通り。
「Acoustic」という名前のライブハウス。
路地の奥にあるので、知っていないとわからないし入りづらい。
行った日はたまたまレディースデー(1ドリンクフリー?)だったようで、到着した20時半頃には既に満席満員状態。
ホーチミン市中心部の別のライブハウスには行ったことはあったんですが、「Acoustic」は3区という中心街からは少し離れた場所にあり、客層もおそらくほぼベトナム人のみだったのでもう少しローカル感に溢れてました。
ライブハウス入り口の壁の絵から伝わるアート感。
どことなく風刺な感じでロックっぽい。
足の踏み場も無いような店内を何とか潜り抜けて場所を取り、ドリンクを注文します。
ビール1本100,000VND~ なお値段。エントランスはフリー。
バーやクラブと同じような並びと考えると、いまさらいうほどでもないんですが、こういうところのドリンクはローカルなレストランなどの値段と比べると(4倍~7倍くらい)かなり高い。
現地の価値感覚ではちょっと贅沢な遊びになるんですかね。
入店したときには既に演奏が始まっていました。
歌詞がベトナム語だったので内容はわからないものの、しっかりロックバンド。
いつもホーチミンの街中で聞こえてくるようなズンドコなベトナムミュージックじゃない。
見る限りバンドマン達はベトナム人。
額に汗して何かをベトナム語で唄ってる。
演奏が終わると拍手喝采。
そしてここで気づく違和感。
会場を見渡して…みんな座ってるんですよね。
しかも演奏中は手を上げたり、ノリノリに体を揺らしたりなどもほとんどない。
それでも演奏が終わると拍手喝采。
ロックバンドのライブ、だよね?
次のバンドチームに変わってもその様子に変わりはなく、腕組みしながらじっと聞いてる人もいます。
外野で立ち見の観客は多少ノリノリ感はあるものの、プチョヘンザッ! なノリは感じない。
これがベトナム流のロックミュージックの鑑賞スタイルなんだろうか…。
このバンドもかなり激しめのロックで、長髪の兄ちゃん2人が頭をシェイクする感じ。
でもやっぱり観客はおとなしく座ってじっと聞いている。
暗くてわかりにくいですが、後ろのほうまで満員御礼なんです。
ノリノリな感じがないとはいえ、みんな早く来て席を取ってるわけだからロックが好き、なはず。
連れて行ってくれた友人はというと、かなりノリノリでした。
性格の違い?会場によってはまた違うのか…。
ベトナムロックのエネルギー?ってどういうところからくるのだろう。
ホーチミンは若い人がとても多く(平均年齢28歳)、発展していて明るい街だし、ベトナムが社会主義国だと感じさせない賑やかさがあります。
(これは社会主義国のイメージが某国に偏ってるからだとは思いますが…)
それでも実際に生活している人々、特に若い人たちは、何かしら溜め込んでる思いがあるんだろうなと。
そんな風に思う話をベトナム人の友人からも聞いたことがあります。
日々開発が進み、発展していく街。
法整備も少しずつ進んで近代化していく。
夢を掴もうと全国から人が集まってくる。
その一方で、ベトナム人のあいだでも貧富の格差は大きく、幼少時からの教育格差が所得格差に繋がりやすい。
国への疑念もあるから、近隣ではバンコクやシンガポールのような大都市、外国に憧れを持つ。
お金持ちになりたい、家が欲しい、だけどどうすればよいのか方法はよくわからない。
ベトナムの若い人たちはそんな思いを抱えていて、それがロックのエネルギーになっているのかもしれない。
日本だとどうなんでしょう。或いはどうだったんでしょう。
やっぱり比較して自分の国はどうだったのかと考えてしまいますね。
ベトナム人に混じってベトナムのロックを聞きながら、ベトナム人から聞いた話を思い出しながら、自分と同世代の20代ベトナムの人々に思いを馳せてみた時間でした。
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